16勝1敗、防御率1.82、投球回数173.1回。この数字は、2007年に千葉ロッテマリーンズで活躍した投手、吉久のものです。彼は21歳という若さで、驚異的な成績を収め、チームの優勝に大きく貢献しました。勝率は驚くべき94.1%で、1人で15の貯金を作り上げました。
吉久の活躍は、特に当時の横浜ベイスターズとの対戦において際立っていました。彼のピッチングは全盛期の相手打線を封じ込め、ロッテ球団史に名を刻む瞬間を数多く生み出しました。2007年の沢村賞には、彼が有力候補とされながらも、他の選手にその栄誉を譲る結果となりました。特に杉内投手との競争は激しく、さらにはヤクルトからの期待も寄せられていました。
吉久はその後も長いキャリアを持ちましたが、この年のパフォーマンスは特筆すべきものでした。彼はスライダーとチェンジアップを駆使し、バッターを翻弄する姿が印象的でした。しかし、ストレートの急速が落ちると勝てなくなるという短命型の投手であることが後に明らかになりました。
彼の活躍は、ロッテの主力選手たちが華やかに戦った時代の象徴とも言えます。以降、彼は一度も防御率のタイトル争いに加わることはありませんでしたが、2007年の神がかったピッチングは今でもファンの記憶に鮮明に残っています。吉久の投球は、神宮での謎の男としての魅力を持ち続け、今でも語り継がれる存在となっています。