渡邉このみさんが子役時代の辛い経験を語り、多くの人々に衝撃を与えています。彼女は2006年に大阪府で生まれ、3歳で芸能界に入りました。5歳で日本アカデミー賞新人俳優賞を史上最年少で受賞し、その後も「西郷どん」や「まれ」などの話題作に出演し、天才子役としての名声を得ました。しかし、2019年にわずか12歳で芸能界を引退しました。その理由は表向きは中学受験のためでしたが、実際には彼女が抱えていた疲弊と精神的なストレスが大きな要因でした。
渡邉さんは子役として多くの虐待を受ける役柄を演じており、その感情移入が彼女を苦しめました。役と現実の境界が曖昧になり、自身が虐待を受けているかのような錯覚に陥ることもあったそうです。さらに、現場での大人たちの高圧的な態度にも悩まされ、次第に不信感が募っていったと語ります。優しく接してくれる大人たちが、忙しくなると冷たい態度を見せることにショックを受けたと振り返り、子供だからこそ強い口調で叱責されることが多かったと述べています。
彼女は自身を偽り続けることで精神的に追い詰められていきました。子役として「良い子」であることが求められ、そのプレッシャーに耐えながら仕事をこなしていたのです。こうした葛藤の中、渡邉さんは小学6年生の頃に限界を迎え、「疲れてしまった」と母に告げました。母は彼女の決意を尊重し、事務所への報告などを円満に進め、渡邉さんは芸能界を離れることになりました。
引退後、渡邉さんはマレーシアに留学し、誰にも知られない環境で心を休めることを望んでいたのかもしれません。しかし、コロナ禍によって帰国を余儀なくされ、現在は地元の中学校で普通の学生生活を送っています。芸能界を離れたことで自分を見つめ直す機会を得たと語る彼女は、自由に発言できる環境の大切さを実感しています。
現在、渡邉さんは高校生活を送る傍ら、自らの会社「アルケミ」を設立し、同世代の若者たちが自己分析や夢を追う手助けをするイベントやコミュニティ運営にも取り組んでいます。高校受験に失敗したことをきっかけに、自己分析の重要性を感じるようになり、その経験を同世代と共有したいと考えるようになったといいます。
渡邉さんは、ブラジルの作家パウロ・コエルの『アルケミスト』から影響を受け、自分の心に従って生きることの尊さを学びました。彼女の活動は、多くの人々に勇気と希望を与える存在になりうるでしょう。渡邉さんの真摯な姿勢とバイタリティに満ちた取り組みは、今後も注目を集めることが予想されます。彼女の挑戦は始まったばかりであり、同世代の支えとなる姿を追い続けたいと思います。